皆様にとってはどのような1年だったでしょうか。
我々の建設業界は、下火と言われて久しいですが、
しかし、1日という時間は誰にでも平等におとずれてくれます。
無為な1日にするか、充実した1日にするかは
仕事をつくる努力と、得た仕事をとことんやり通す努力を惜しまなければ
“この地球に生きるものとして
sai-BRANDは、「資源でありつづけるモノづくり」をテーマに
皆様にとって良い年がおとずれますように。
【写真3】造粒工程
木粉とpp(プラスチック)、添加剤、顔料などを混練したペレット(顆粒)を製造しています。
再生木材の「素」のようなもので、ウコンの錠剤のようなイメージです。
【写真4】成型工程
ペレットに熱をかけて、混練したものを高い圧力をかけて金型を通します。
すると、心太(ところてん)のように再生木材が成型されます。
押し出されたばかりの再生木材は、表面にプラスチックで覆われていることが判ります。
【写真5】
プラスチックの皮を被った再生木材を、ローリングサンダーという大型の紙やすり機を通して、指定の寸法に仕上げます。
再生木材の表面の「木目」に見える模様は、この工程で加工されているのです。
【写真6】:強度試験】
本工事におけるボードウォークの設計荷重は3500N/㎡(等分布荷重)に設定されています。
また、弊社のリバースウッドの曲げ強度の保証値は16N/mm2としていることから、
これらの強度を満たしていることを証明する検査です。
今回は、写真の通り、集中荷重で3890Nで材破しました。
よって、十分な強度が確保されていることが証明されました。
本工事で製造する再生木材は、約25t分です。
今回の検査が完了したロットは12/16に無事、現場へ搬入されました。
福井県より検査に来られた検査官、元請業者の方々、遠路はるばる有難うございました。
現場の資源をリサイクルするという意義をご理解いただき、大変感謝しております。
次世代に「ゴミ」となるモノを残すのではなく、何度も繰り返しリサイクルができる「資源」となるモノづくりを行うのがsai-BRANDのテーマです。
このテーマを今回のような大きな仕事で実現できたこと、大変嬉しく感じております。
さて、現場も急ピッチで進んでいるようです。
本工事の施工は、sai近畿が担当しております。
現場レポートをお楽しみに。
福井県の敦賀港で既設ボードウォークの改修工事がスタートしました。
上の写真中央部は今年6月に改修をした箇所です。
今回は、写真手前に見える痛んだ既設ボードウォークを改修するのですが、
本工事で「日本初」の提案をご採用いただきました。
この既設材を原料として再生木材を製造し、現場へ戻し、再施工するのがsai-BRANDの「リバースデッキ工法」ですが、 今回はこの既設木材をスクラップ控除する日本で初めての工事事例です(推測)。
このスクラップ控除とは、主に鉄橋や矢板護岸を改修する際に導入されている手法で、 現場から撤去した鋼材を鉄屑屋さんに持ち込み、買い取ってもらい、その評価額を発注金額から控除するという制度です。
鉄は「溶かして再生する」のが当たり前という認識を持たれている素材ですが、 木材は鉄と比較すると貴重性が低いため、サーマルリサイクル(熱源処理)の名の下に燃やされています。
最近よく耳にするバイオマス発電などもそのひとつの手段です。
バイオマス発電とは、木材などの植物を燃やすことにより、エネルギーを得る技術ですが、
生息する植物のCO2吸収量と、木質系廃材を燃やす際に発生するCO2が同程度となるため、総合的なCO2排出量は、他の発電方式と比べ、ごく微量、もしくはCO2収支はゼロになるという考え方です。
これは国内の林業との共存をベースとした考え方ですが、例えばデッキやボードウォークに使用される外国産のハードウッド(比重が1に近い天然木材)を燃やした場合はどうなるでしょうか。
木の組成の約7割は炭素です。
輸出国のCO2を吸収して育ったものを輸入国で燃やすわけですから、カーボンニュートラルという概念からは大きく外れていると考えます。
いまや建設資材は合板をはじめ、今や世界各国から輸入されています。
これらの輸入資材たちが寿命を果たしたとき、不必要になったとき、これらを燃やし続けて良いのでしょうか。
そんな日本であり続けて良いのでしょうか。
そこでsai-BRANDでは、木材を焼却するのではなく、原料としてリサイクルし、同じ用途として再利用するリバースデッキ工法を開発しました。
1期工事目には提案が遅れたため、残念ながらリバースデッキ工法の採用は叶いませんでしたが、
今回の工事では、発注者である福井県様に、この思想、技術をご採用いただき、しかも、既設材を有価で買い取るスクラップ控除を日本で初めて導入していただきました。
しかも再生する既設材は、福井県産の桧(ヒノキ)です。
地元で生まれ育った木を、さらに再生し、地元へかえす。
sai-BRANDのテーマである「資源でありつづけるモノづくり」を具現化できる工事です。
現在は工事が始まったばかりで、既設木材の撤去中です。
この、まだきれいな、使える木材たちを再資源化するのです。
そのために、これから現場がどう動き、工場がどう動き、リサイクルされていくのかをレポートして行きます。
ここ、敦賀港で取り組まれるあらたなチャレンジにご期待下さい。
※発注者である福井県嶺南振興局敦賀港湾事務所様、本情報の掲載を快く許可いただいたこと、心より感謝致します。
今回の貴局の取り組みを広く周知することのお役に立てれば幸いです。
そんなことを考えた「経済対策」活用の旅でした。
【写真:宮津市越浜(おっぱま)海岸】