2009年10月30日金曜日

【福井県敦賀港】1~新たな試み~

工事名:(県単)金ヶ崎緑地ボードウォーク改修工事
発注者:福井県土木部嶺南振興局敦賀港湾事務所様


福井県の敦賀港で既設ボードウォークの改修工事がスタートしました。
上の写真中央部は今年6月に改修をした箇所です。


今回は、写真手前に見える痛んだ既設ボードウォークを改修するのですが、
本工事で「日本初」の提案をご採用いただきました。


この既設材を原料として再生木材を製造し、現場へ戻し、再施工するのがsai-BRANDの「リバースデッキ工法」ですが、 今回はこの既設木材をスクラップ控除する日本で初めての工事事例です(推測)。


このスクラップ控除とは、主に鉄橋や矢板護岸を改修する際に導入されている手法で、 現場から撤去した鋼材を鉄屑屋さんに持ち込み、買い取ってもらい、その評価額を発注金額から控除するという制度です。
鉄は「溶かして再生する」のが当たり前という認識を持たれている素材ですが、 木材は鉄と比較すると貴重性が低いため、サーマルリサイクル(熱源処理)の名の下に燃やされています。

最近よく耳にするバイオマス発電などもそのひとつの手段です。
バイオマス発電とは、木材などの植物を燃やすことにより、エネルギーを得る技術ですが、
生息する植物のCO2吸収量と、木質系廃材を燃やす際に発生するCO2が同程度となるため、総合的なCO2排出量は、他の発電方式と比べ、ごく微量、もしくはCO2収支はゼロになるという考え方です。


これは国内の林業との共存をベースとした考え方ですが、例えばデッキやボードウォークに使用される外国産のハードウッド(比重が1に近い天然木材)を燃やした場合はどうなるでしょうか。

木の組成の約7割は炭素です。
輸出国のCO2を吸収して育ったものを輸入国で燃やすわけですから、カーボンニュートラルという概念からは大きく外れていると考えます。
いまや建設資材は合板をはじめ、今や世界各国から輸入されています。
これらの輸入資材たちが寿命を果たしたとき、不必要になったとき、これらを燃やし続けて良いのでしょうか。
そんな日本であり続けて良いのでしょうか。

そこでsai-BRANDでは、木材を焼却するのではなく、原料としてリサイクルし、同じ用途として再利用するリバースデッキ工法を開発しました。

1期工事目には提案が遅れたため、残念ながらリバースデッキ工法の採用は叶いませんでしたが、
今回の工事では、発注者である福井県様に、この思想、技術をご採用いただき、しかも、既設材を有価で買い取るスクラップ控除を日本で初めて導入していただきました。

しかも再生する既設材は、福井県産の桧(ヒノキ)です。
地元で生まれ育った木を、さらに再生し、地元へかえす。
sai-BRANDのテーマである「資源でありつづけるモノづくり」を具現化できる工事です。


現在は工事が始まったばかりで、既設木材の撤去中です。
この、まだきれいな、使える木材たちを再資源化するのです。
そのために、これから現場がどう動き、工場がどう動き、リサイクルされていくのかをレポートして行きます。

ここ、敦賀港で取り組まれるあらたなチャレンジにご期待下さい。


※発注者である福井県嶺南振興局敦賀港湾事務所様、本情報の掲載を快く許可いただいたこと、心より感謝致します。
 今回の貴局の取り組みを広く周知することのお役に立てれば幸いです。